殺陣には「芯」と「絡み」という言葉があります。これは殺陣を作る上での演者の役割を表します。
『芯』とはシーンを引っ張るメインとなるポジションのこと。
主役とも言えます。
対して『絡み』とは芯を引き立たせるための支えとなるポジションです。
要は斬られ役のことですね。
芯と絡みはそれぞれとても重要な役割を持っており、互いに上手く作用すればシーンが大きく盛り上がります。
反対に連携が取れないと盛り上がりに欠けるばかりか、
観る人はシーンのどこに集中したらよいのかが分からなくなってしまうのです。
この記事の内容は殺陣に限らず、実生活や仕事に置き換えても通用する考え方です。
殺陣における「芯」と「絡み」の役割とは?
殺陣において、『芯』と『絡み』は以下のように定義できます。
- 芯:シーンのメインとなる存在
- 絡み:シーンを引き立てる存在
殺陣における『芯』とは、シーンの主導となる役割を持ちます。
いわゆる“メイン”で、文字通りそのシーンの軸となる存在です。
それに対して『絡み』は、芯の動きや物語を引き立たせる役割があります。
多数の絡みが芯に襲いかかったり、一人の強者がライバルとして芯に挑んだりなど、シチュエーションは様々です。
芯と絡みは二人三脚の関係にあり、互いに連携してシーンを盛り上げていくことが求められます。
「芯」と「絡み」にそれぞれ求められるスキルと心構え
『芯』と『絡み』に求められる役割はそれぞれ違います。
ですので、身につけるスキルや考え方もそれぞれ違うのです。
芯に求められるスキルと心構え
殺陣における『芯』に求められるのは、以下の要素です。
- 目を惹きつける動き
- 堂々とした目線や立ち姿
- 周囲に気を配る視野の広さ
- シーンの中心となる責任感
芯はとにかく、観る人の視線を集めるだけの存在感が求められます。
それはビジュアルというよりも、堂々とした立ち振る舞いや目線といった、表現力の部分ですね。
また、芯はその場にいる絡み全員と関わることになります。
入れ替わり立ち替わり、何人もの絡みと動きを合わせなくてはいけません。
つまり、それだけの視野の広さが求められてきます。
そして、何より芯に必要なのは『自分がシーンを背負っている』という責任感です。
芯が役割をこなせなかったら、それに関わる絡みの人たちの見せ場を失くしてしまうことになります。
芯は自分ひとりだけが目立とうとしてはならず、
シーンに関わる全員を輝かせるという使命を持っていることを常に意識しておかなければいけません。
絡みに求められるスキルと心構え
絡みに求められるスキルや心構えは、以下の通りです。
- 芯よりも目立たないコンパクトな動き方
- 間やタイミングを察知する
- リアクションによる芯の引き立て
- 重要なポジションだという自覚
絡みは芯に視点を向けさせるために、過剰に目立つことを避ける必要があります。
芯の動きや表現をよく観察して、どのタイミングで動けば芯にとって負担が少ないか?
どのくらいのリアクションを取れば、芯が主役として引き立つのか?
全ては、シーンの中軸である芯を引き立てるための、計算に裏打ちされた動きでなければなりません。
また、絡みの人が絶対に考えてはいけないことがあります。
脇役だとしても、一瞬の出番だとしても物語の大事な歯車の一つ。
欠けては歯車同士が回りません。
自分にしか出来ない重要な立ち位置なんだという自覚を持つことが、シーンに貢献する第一歩です。
殺陣における芯と絡みのチームワーク|実生活でも活きる考え方
殺陣を学ぶからには、『カッコいい自分になりたい』という気持ちは誰もが持っているもの。
そのために、一番の早道となる考え方があります。
自分ひとりで頑張るのではなく、相手の力を借りてカッコよく魅せることです。
そのためには、『チームワーク』がとても大切。
誰か1人だけが突き抜けているよりも、全員が同じ目的のために動いて連携が取れたシーンの方が見映えがいいのです。
いいシーンを作るために協力し合うことは、結果的にあなたをカッコよく魅せることに繋がります。
チームワークを生み出すための取り組み方
とは言え、具体的に何をするのか分かりづらいですよね。
ざっくり言うと、以下のような流れが理想的です。
芯であっても絡みであっても、考え方は同じです。
- 自分のポジションの役割を考える
- 自分がどう動けば相手が引き立つかを考え、コミュニケーションを取る
- 相手もあなたを引き立たせるために動くようになる
まず、あなたのポジションは主役である芯なのか、斬られ役である絡みなのか。
次に、あなたが関わる相手役を引き立たせ、より良く魅せるにはどう動くべきなのかを考え、相手役と話し合います。
あなたが自分のことを考えて動いてくれていると分かると、
今度は相手もあなたを引き立たせるためにはどうすれば良いかを考えてくれるようになります。
これは『返報性の原理』というもので、恩恵を受けた相手に対して自分もお返しをしたくなる心理の働きから来ています。
一般的には、絡みは芯を引き立てることでシーンを魅力的にする役割がありますが、
ぼくは、メインである芯にも絡みを引き立たせる使命があると思っています。
要は、チームに貢献するために真摯に打ち込んでいる人は、
周りが放ってはおかず引き立ててくれるということです(笑)
『チームワーク=仲良くしなくてはならない』わけじゃない
チームワークを生み出す上で、相手と仲良くするに越したことはありません。
ですが、生きているとどうしても性格的に合わない人や、
好きになれない人と一緒になることはあるでしょう。それは避けて通れません。
チームワークと言っても、それは仲良くしながら和気あいあいとやることばかりではないからです。
仲良しでも、連携が取れなかったらケガにつながることはあります。
どちらかと言うと『目的のためにお互いが必要な役割を果たす』という意味合いが強いでしょう。
ぼくの大好きな特撮作品の『ウルトラマンレオ』で、
主人公のおおとりゲンのセリフにこんなものがあります。
チームワークのために戦っているわけじゃありません。
戦っているうちに、自然と生まれてくるのがチームワークです。
これは『相手の立場や気持ちを考えて、チームワークを重視しろ』という意見に対しての、ゲンの返答です。
つまり相手の気持ちにばかり気を遣い合うのではなく、
共通の目的のために最善を尽くし合うことで生まれてくるのがチームワークだ、という主張なんですね。
もちろん、目的が『お互いに楽しんで親睦を図ること』であれば、
相手の気持ちを精一杯気遣ってあげるといいですよ!
まとめ:殺陣における「芯」と「絡み」|チームワークの大事さ
今回は、殺陣における『芯』と『絡み』の役割や、それに絡めてチームワークについてお話しました。
芯にはお客様を惹きつけるスキルと全体を見る視野、さらに自分が全体を引き立たせる責任感が必要です。
絡みは芯を引き立たせるための動きのさじ加減や、脇役ではあっても重要なポジションだという自覚が必要です。
そして、これらが一つの目的のために噛み合うことがチームワークであり、
それは実生活でも十分に活かせる考え方だというのが、ぼくの主張でした。
芯であっても絡みであっても、互いに引き立て合うことで十分に魅力的になります。
殺陣では相手を魅力的にするために考えて動き、
そして相手も自然にあなたを魅力的にしてくれる関係を作っていけたらもっと殺陣は楽しくなりますよ!
今回はここまで!
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