この記事は、全5回で『落語』を通じて子育ての不安や責任感を軽くしちゃおう!
というシリーズの第2回目です。
落語から子供との接し方を学び、さらに具体的にオススメの演目をご紹介します!
落語から学ぶ『子供との接し方』
落語ではさまざまな登場人物が出てきます。
中でも、子供が出てくる演目では『大人が子供の無邪気さに振り回される』というお約束のような展開に。
さて、毎度のように振り回される大人たちですが、
そんな中でも子供への接し方には『共通したポイント』が感じられるんです。
一つ一つ解説します!
怒鳴らない
基本的に落語の世界の大人たちは、子供を『怒鳴りつける』という事をしません。
無邪気な子供の振る舞いに呆れるも、適度に叱ったり、諭したりするのです。
怒りを感じるのではなく、子供への愛情や肯定をもって育てるように接しているといえるでしょう。
支配しない
落語では、大人が子供を『しょせんは子供』と見下しません。
大人だから格上、子供だから格下という関係性ではないのです。
子供のとる行動一つ一つをきちんと受け止めて、誠実に対応しています。
ただし、例外が一つあります。
それは、
笑いのポイントになる描写をする時。
つまり、大人が子供に振り回された時などには、悔しがり負け惜しみのように、
『子供というものは…』
と、自分のプライドを守ろうとする。
そんな時には敢えて『子供のくせに』というような返しをする展開は見られます。
とはいえ、それがかえって大人の情けなさを強めるため、
あくまで笑いのスパイスとして用いられます(笑)
遮らない
落語の世界での大人は、子供が一生懸命に話す言葉を実に真剣に聞いています。
忙しくても、仕事をしていても関係ありません。
キチンと子供の話を聞き、反応を返します。
子供にしてみれば、
自分の主張をしっかりと聞いてくれることは『受け入れられている』と感じることでしょう。
ただ、これも例外的に『笑いを生むポイントになる場合』には、大人もシャットアウトしようとします。
落語の世界の子供は妙に賢く、
耳の痛い事情や、時には男女の仲といったセンシティブな話までしてくるので、
大人にしたらたまったもんじゃないんですね(笑)
まとめると、落語の世界の大人たちは、
『子供を1人の人間として対等に接している』
と言えますね。
子供にも主張があります。
やりたいこと、好き嫌いがある。
そして、適当にあしらわずに話をキチンと聞いて欲しい。
現代でも、子供との接し方のヒントになるのではないでしょうか?
ママが子供に接する時も、
- 話をキチンと聞く
- 気持ちを肯定してあげる
- 自分の所有物だと思わず、一人の人間として対等に接する
出来るところからでも、心がけたいものです。
子供と大人の交流を描く『おすすめの演目』3つ
ここでは、『大人と子供のやり取りが面白いおすすめの演目』を3つ、紹介します。
聞き慣れない方でも分かりやすいストーリーのものを選びました!
今回オススメするのは、
- 桃太郎
- 初天神(はつてんじん)
- しゃっくり政談
という3つの噺です。
この3つの噺は分かりやすく、初めて落語を聞く方でもすんなりと入っていけます。
『桃太郎』のあらすじ
『桃太郎』は、夜になかなか寝付かないコシャクな子供と、
なんとか寝かせようと昔話を聞かせるオヤジさんのやり取りから始まります。
桃太郎の昔話を聞かせても子供は眠らず、痺れを切らしたオヤジさん。
すると、今度は子供が逆に桃太郎の歴史を詳しく語ったり、
なぜ犬、猿、キジという動物が選ばれたのか、などについても理路整然と語り始めるのです。
オヤジさんの方が感心して聞き込んでしまい、
最後にはオヤジさんの方が寝てしまう。
というのが『桃太郎』のあらすじです。
『桃太郎』の面白いポイント
初めて桃太郎を聞いたときは、おかしくてゲラゲラ笑ってしまいました(笑)
なんと言っても、世にありがちな親子の関係が『逆転現象』を起こしているのが笑えます。
オヤジよりも子供の方が知識があり、
昔話の『そういうもんだから』とスルーしていた疑問に鋭く切り込む子供の視点。
しまいには、
『お前の方が寝るんかい!』
とズッコケるようなオチで終わります(笑)
『大人というのは罪がないなぁ』
という一言で締めくくる子供の姿も痛快です(笑)
まさに大人が振り回され、
子供とオヤジと対等以上に描かれている面白さがあります!
『初天神(はつてんじん)』のあらすじ
『初天神』は、オヤジと子供が天神様を祀る縁日に出かける噺です。
天神様とは、皇族の祖先とされる神様を指します。
天神様の象徴である『菅原道真(すがわらのみちざね)』公の誕生日と命日はともに『25日』。
なので、1月25日を『初天神』と呼び、道真公を祀るんですね。
この親子の関係は子供がやんちゃで、オヤジはいつも振り回されるのでハラハラ。
縁日でも、あの手この手で買わされはしまいかと、ふところの寂しいオヤジさんはビクビクしています。
案の定、アメを買わされたり、凧揚げのタコを買わされたり。
そんなやり取りの中でもオヤジさんのみみっちさが表れ、子供や周囲の大人も呆れ気味。
しまいには、凧揚げの手本を見せるうちにオヤジさんの方が凧揚げに夢中になり始めます。
子供が凧揚げを替わってくれと頼むと、
『アホ! 今が一番オモロいところやないか!』
と、オヤジ1人が楽しみきっている始末。
『お父ちゃんなんか、縁日に連れてくるんじゃなかった』
と子供が呆れ返る、というオチで終わります。
『初天神』の面白いポイント
桃太郎とは違い、初天神は子供をそれほど賢く描いてはいません。
むしろ、オヤジさんが子供と『同レベル』に描かれているように感じます。
子供が人にぶつかって、代わりにオヤジさんが謝った直後、
今度はオヤジさんが人にぶつかり、代わりに子供が謝ったり。
子供に買ってあげるアメ玉を選ぶ際に、オヤジさんがベロベロとアメを舐めて品定めして叱られたり。
凧揚げに自分が夢中になるあまり、子供をほったらかしにして一人で遊んだり。
威厳もへったくれもないオヤジさんの滑稽さが、子供との『対等な関係』を上手く魅せています。
時には、
オヤジさんが子供を困らせたり泣かしたりと過激なシーンがあるパターンもありますが、
その直後にちゃんとしっぺ返しを食らって、笑いに昇華されています(笑)
『しゃっくり政談』のあらすじ
『しゃっくり政談』は別名、
『次の御用日』というタイトルになっている場合もありますが、物語のあらすじは基本的には同じです。
この噺は丁稚(でっち)と呼ばれるお仕事をしている子供を中心に、
『一つの事件の裁判』が展開していくお話です。
裁判と聞くと少し堅苦しいイメージもあるかもしれませんが、
この噺のキモは、そこではないので、意外とすんなり物語に入れます!
丁稚の子供が働き先の商家の娘さんとお使いに行った時、ある事件が起こります。
商家の知人の男が娘さんにいたずらをしようと、
娘さんの目の前で大きな声で『アッ!』としゃっくりをしたことで、娘さんはショックで倒れてしまいます。
そこに居合わせた子供は、その後に開かれた裁判において、重要な証言者となってしまうわけです。
お奉行様や、商家の旦那さんの前で子供はありのままを語ります。
ところが、『アッ!』というしゃっくりを証言したことから、
その場の空気が、どんどんおかしな方向に進み始めるのです。
被告人の男が娘の前で『アッ!』としゃっくりをしたか否か?
という事実が争点となってしまい、
『そのほう、“アッ!”と申したであろう!』
とお奉行様が被告人の男を問い詰めたかと思うと、
『わたくし、“アッ!”などと申した覚えはございません!』
と、被告人の男は認めようとせず。
お奉行様と男が『アッ!』『アッ!』と、
子供のしゃっくりを懇切丁寧に真似ながら質疑応答が進むという異様な空間に。
しまいにお奉行様は息が続かなくなり、
息も絶え絶えに、裁判を後日に延期するというとんでもない締めくくりをして、物語は終わります。
『しゃっくり政談』の面白いポイント
『しゃっくり政談』の面白さは、
くそ真面目に、みんなが狂っていく
というところではないでしょうか(笑)
当人たちは大真面目に裁判をしているにもかかわらず、
キテレツな証言を中心にしてしまったことにより、冷静に見たらメチャクチャな議論に変わっていってしまうという展開。
しかも、
当人たちはその異常さに気づいてもいないところが、余計に面白いんです(笑)
大人たちが子供の言葉に真剣に向き合ったことで、裁判の流れがバカバカしい議論に変化していくという皮肉めいた流れですね。
この噺では非常に悪い方向に向かってしまいましたが、
子供の話に真剣に耳を傾け、尊重するという姿勢そのものは考えさせられるものがありますね(笑)
これら3つの噺にも、子供に対して対等に接していこうというメッセージが感じられます。
文章だけで面白さは伝わりづらいので、この3つの噺は是非とも、噺家さんの柔らかい口調とともに味わっていただきたいです。
ママにおすすめ! 落語を聴けるアプリ3選
ここでは、子育ての合間に落語をオンラインで聴けるアプリを3つ、ご紹介します!
落語をオンラインで聴けるアプリから、3つをピックアップしました。
- YouTube
- Audible
- その他のラジオアプリ
それぞれのアプリの特徴を比較してみました!
YouTube | Audible | ラジオアプリ | |
---|---|---|---|
使い勝手 | 使い易い | 使い易い | 慣れが必要 |
コンテンツ量 | 非常に豊富 | 豊富 | 放送しないと聞けない |
バックグラウンド再生 | 有料プランでのみ可能 | 可能 | 可能 |
オフライン再生 | 有料プランでのみ可能 | 可能 | アプリによる |
広告の有無 | (有料プランで消せる) | 有り無し | 有り |
費用 | (有料プラン有り) | 無料月額1,500円 | 一部有料コンテンツ有り |
動画で視覚的にも落語を楽しみたい人にはYouTubeがオススメです。
バックグラウンド再生で、作業をしながら聴きたい人にはAudible。
今まさにリアルタイムで放送しているライブ感を感じたいという人はラジオアプリも良いでしょう。
あなたに合ったアプリから落語を楽しんでみてください!
落語を通じて『子供との接し方』を感じてみよう!
今回の記事は、以下の内容をお伝えしました。
『子供を対等な存在と見て接する』
ということが落語のやり取りから感じられます。
それは、現代の子育てでも大切なこと。
実際に、落語で大人と子供の交流を聞くことで、イメージが膨らむことでしょう。
- YouTube
- Audible
- その他のラジオアプリ
是非、あなたに合ったアプリから落語に触れてみてください!
今回はここまで!
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